脳活動のドメイン適合

fMRIの脳活動のみから人間の心的内容(例えば、被験者が実際にfMRIスキャナ内に入って画面上の猫を見ているときに、複数のカテゴリーから「猫」を当てるなど)を解読することは、神経科学やブレイン・マシン・インターフェースの分野で重要な課題となっています。しかし、脳は個人によって大きく異なるため、ある被験者の精神的内容を別の被験者のデータから解釈することは非常に困難です。
ドメイン適応(Domain Adaptation: DA)とは、元となる分布で学習したモデルを、異なる対象となる分布の文脈で適用する転移学習法のことです。本研究では、まず、個人の心的内容を解読できる深層学習モデルを構築し、その後、DAが適用可能か検証を行いました。

我々はまず、個人の心の内容をデコードするための深層学習モデルを構築しました。そして、このモデルを、DAを導入していない他の手法である線形SVMやCNNと比較することで、DAの適用性を検証しました。その結果、確率以上の精度で、ほとんどのDA被験者が非DA被験者を有意に上回ることが確認されました。

 

“Unsupervised domain adaptation for category prediction in fMRI brain decoding”

Hiroaki Yamane, Atsushi Kanehira, Tatsuya Harada
Computer Assisted Radiology and Surgery (CARS) June 2020